驚きのアース
国債先物取引の売買立会いは東京証券取引所の売買システムを使って行われ,午前9時から午前11時までの午前立会いと午後0時半から午後3時までの午後立会いがある。
また,翌日扱いの取引にはなるが,2000年に午後3時半から午後6時までのイブニング・セッションが新設され,取引時間が拡大した。
国債先物取引では,取引対象は国が発行している国債そのものではなく,証券取引所が売買の円滑化のために利率・償還期限その他の条件を標準化して設定した標準物で売買され,標準物であっても証券取引法上は国債証券として扱われる(証取108条の2)。
東京証券取引所の国債先物取引の標準物は,額面が100円,利率が年6%(中期国債標準物は年3%),償還期限は中期国債標準物が5年,長期国債標準物が10年,超長期国債標準物が20年と定められている。
標準物の売買の単位は額面1億円であり,市場価格(呼値:よびね)は額面100円当たりの値段を1銭単位で表示している。
仮に大幅な需給の偏向や過当投機等から市場価格が変動すると投資者に投資判断を誤らせ,不測の損害を与える恐れがあるため,取引所では1日の価格の変動幅を前日の終値を基準として上下一定範囲に制限している(「値幅制限」という:中期・長期標準物で上下2円,超長期標準物で上下3円)。
一方,国債先物取引では,取引開始当初から受渡決済期日を3月,6月,9月,12月各月の20日(休業日の場合は繰下げ)とし,受渡決済期日の異なる3本の取引が常に取引される(限月<げんげつ>とは最終決済が行われる月く例:6月>を指す)。
東京証券取引所と取引資格のある会員等の間では,債務の履行を確実にするために,毎日未決済の買約定(買建玉:かいたてぎよく)や売約定(売建玉:うりたてぎよく)を評価替え(値洗い:ねあらい)している。
なお,会員や会員の顧客等が先物取引を行った場合,証券取引所はその会員や顧客等から債務の履行の担保となる取引証拠金の預託をうけなければならない(証取108条の3)。
この証拠金の金額は,各限月取引につき,「額面1億円当たりの証拠金額」(3ヵ月ごとに変動)に売建玉と買建玉の差引数量を乗じて得た額の合計額以上となる。
(b)取引の具体例では,反対売買と最終決済の各々の取引について具体例を見てみよう。
まず,東京証券取引所で長期国債先物を安く買い付け,値段が上がった段階で高く転売(反対売買)し,差益を得るケースを見ることにする(委託手数料等は無視)。
最初に額面100円当たり115円40銭(買建価格)で2億円分購入した(買建て)とする(売買単位は額面1億円となっている)。
なお,このように新規に買付けや売付けを行う場合,その翌日までの証券会社が指定する日時までに証拠金を差し入れる必要がある。
さて,その後,値段が額面100円当たり116円05銭(転売価格)となったのでその価格で転売(反対売買)したとする。
すると,その翌日に売買益として(転売価格一買建価格)×2億円÷100=(116.05-115.40)×2億円÷100=130万円の差金を受け取ることになる。
次に,東京証券取引所で高く売り付けた後,値段が下がって取引最終日を迎えたため,反対売買をせずに安く買い戻し(受渡決済)て差益を得るケースを考えよう。
長期国債先物を115円(売建価格)で10億円分売却した(売建て)とする。
この時点でやはり証拠金が差し入れられる。
その後,取引最終日まで反対売買をせず限月取引が終了したが,その時の価格は113円(受渡決済値段)であった。
さて,取引最終日は受渡決済期日の7日前(休業日を除く)であるが,取引最終日の翌日に,売買益=(売建価格一受渡決済値段)×10億円÷100=(115-113)×10億円÷100=2000万円の差金を受け取ることができる。
また,受渡決済期日には現物の国債証券と代金との受渡決済が行われる。
しかし,現物の国債証券といっても,そもそもの取引対象が現実には存在していない標準物であるため,現実に存在する国債証券の中で受渡適格銘柄の受渡が行われる。
受渡適格銘柄は,中期国債先物取引では受渡期日において残存期間が3年以上5年以下である利付国債,長期国債先物取引では受渡期日において残存期間が7年以上11年未満である上場国債,超長期国債先物取引では受渡期日において残存期間が15年以上21年未満である上場国債であり,その中から売り手が決済物件を選択できる。
また,売り手が選択した国債証券と国債先物取引が対象とする標準物はクーポンや残存期間等の条件が異なるため,受渡適格銘柄と標準物との価値を複利で同一とする交換比率(コンバージョン・ファクター:東京証券取引所のホームページから入手可能)によって調整し,その上で受渡代金を計算する必要がある。
そこで設例に戻ると,まず受渡適格銘柄の中から長期国債(X回債)額面10億円分を受け渡したとする。
この長期国債は利率が6.5%,残存期間が8年3ヵ月で利払い後90日経過しており,コンバージョン・ファクターは1.032044である。
すると,受渡代金=(受渡決済値段×交換比率)×10億円÷100+額面100円当たりの経過利子相当額×(1億円÷100)×10=113円×1.032044×10億円÷100+(6.5×90)÷365×(1億円÷100)×10=1,182,236,390円となり,長期国債と引換えに1,182,236,390円を受け取ることになる。
有価証券指数等先物取引とは,有価証券市場を開設する者の定める基準や方法に従い,当事者が予め有価証券指数または有価証券価格として約定する数値(約定指数または約定数値)と将来の一定時期における当該有価証券指数または有価証券価格の数値(現実指数または現実数値)の差に基づいて算出される金銭の授受を約する取引をいう(証取2条18項)。
代表的なものは株価指数先物取引であり,リスクヘッジ手段や新たな投資手段になるなど大きな役割を果たしているが,証券取引法では社債指数や国債指数など有価証券価格をベースとする先物取引にも広く適用できるよう規定している。
日本の株価指数先物取引は昭和63年の証券取引法改正によって認められ,同年,大阪証券取引所の日経平均株価(日経225),東京証券取引所の東証株価指数(TOPIX)を対象とする株価指数先物取引が始まると,平成6年には大阪証券取引所で日経300,平成10年には大阪,東京の両証券取引所で業種別の株価指数を対象とする株価指数先物取引(大証業種別指数,東証業種別指数)が開始された。
株価指数先物取引では3月,6月,9月,12月の各月(限月)の第2金曜日の前日を取引最終日としている。
取引対象となる株価指数は抽象的な数値であるため,先物取引の期限がきても具体的な物の受渡しはなく,決済はすべて差金の授受による。
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